農業どぼくろく -農業土木録-

農業土木の仕事をしながら、農業土木関連の資格試験を取得する勉強内容を書いています。

自動水管理システムについて

近年、農業白書でも農業に携わる方なら聞いたことのあるスマート農業。ロボットトラクタなどについては基盤整備の部分で書くとして、今回は自動水管理システムについて問題を作ってみようと思います。

 

問題

「水田における自動水管理システムの特徴を述べるとともに、導入における技術的留意点について述べよ」

 

 

自動水管理システムの概要

 自動水管理システムは平成30年度の食料・農業・農村白書にて紹介され、農研機構農村工学研究部門の発表によると、

水稲栽培において、労働時間の約3割を占めている日々の水管理は、大面積で分散した水田を管理する農家にとって大きな負担になっています。

②そこで、農研機構農村工学研究部門では、既存の給水バルブと排水口にインターネット通信機能とセンシング機能を付加した制御装置を追加することで、給水バルブと排水口を遠隔及び自動で制御できるシステムを開発しました。

③ユーザーはスマートフォンやPCなどから、どこにいても水田の水位や水温などのデータを閲覧することができ、状況に応じていつでも自由に水管理をすることができます。④さらに、サーバー上の水管理ソフトを使うことで、任意の水深を自動で維持したり、設定した間隔で間断灌漑をしたり、水温上昇を目的とした夜間灌漑をしたりと、様々な水管理を自動で行うこともできます。

⑤水管理労力や用水量は水田枚数や立地条件等により大きく変動しますが、農研機構の実証圃場では、水管理の労働時間を約80%削減可能で、出穂期から収穫までの期間の用水量も約50%削減できました。

 

このシステムの開発は農業を知っている方でなければできないと思います。労働時間の約3割の水管理作業が80%削減でき、かつ用水量(出穂期から収穫まで)を半減できるということですから、目の付け所が違います。

 

さて、そんな凄いシステムなのですが、未だ万能ではないのです。今後、万能に近づいてくる、もしくは用途の住み分けといった考え方になっていくものと思います。

 

以上から、答案を作成してみました。

 

1.自動水管理システムの特徴

①給排水の簡素化

給水と排水の両方を水田のデータを見ながら、遠隔・自動で制御可能。

②水管理

水管理ソフトを用いることによって、複雑な水管理も自動で制御できる。

③日々の水まわりや給排水操作がなくなるため、約80%の水管理労力の削減が可能。

④システムの利用により適正な水管理が実現されるため、出穂期から収穫までの用水量を半減できる。

2.自動水管理システムの技術的留意点

①目詰まりの対策

 給水・排水の流入口にゴミなどが目詰まりをすることによって想定している動作が出来なくなり、適正な水位を保持できない可能性が出てくるため、スクリーンの設置や降雨後の管理などを行う。

②ほ場単位用水量の算定

 用水計画時に自動水管理システムを導入する場合、出穂期から収穫期のほ場単位用水量を従前の50%程度で算定する。

③通信状態の安定化

 基地局と機器間の信号やデータが安定してやり取りできる通信状態を維持する。

 

新技術に関しての答案はなかなか難しいですが、スマート農業についての出題もされてきそうですので、その辺にも慣れておきたいところです。

次は、かんがいから少し離れて、ほ場整備にうつります。