農業どぼくろく -農業土木録-

農業土木の仕事をしながら、農業土木関連の資格試験を取得する勉強内容を書いています。

農業水利施設のストックマネジメントの実施サイクル

前回に引き続き、ストックマネジメントについての回答なのですが、前回の農水省の資料、「農業水利施節の機能保全の手引き」を見てみますと、試験に出そうな文章があるなーって思い、引き続きやってみました。

 

問題

「農業水利施設のストックマネジメントの実施サイクルの各項目を3つ以上挙げ、それぞれの特徴と留意点について述べよ」

 

 

農水省の資料、「農業水利施設におけるストックマネジメントの取組について」によると、

「ストックマネジメントは、

①管理者による適切な日常管理、②定期的な機能診断、③施設の劣化予測や工法等の比較検討による対策計画の作成、④同計画に基づく対策の実施、⑤これらの過程を通じて得られる施設状態や対策履歴等のデータの蓄積と利用、

などのサイクルを繰り返すことにより実施」

とあります。

 

また、手引きにも記載されていますので、そちらを参照して各項目ごとに答案を作成していきます。

 

①日常管理

特徴

施設の日常的な管理は、施設を良好な状態に保つとともに、施設の経年的な劣化や地震等による偶発的な損傷等を把握する機会であり、施設に本来要求されている性能の発揮とその維持のために重要な行為である。

留意点

日常管理は管理の結果の整理や記録を含め適切に行うことが求められ、通常の維持管理の範囲で行う軽微な補修等は、原則施設管理者が行う。また、高度な機能診断が必要な変状を発見した場合には、施設管理者から施設造成者に情報提供を行う等の対応が的確になされる必要がある。

 

②機能診断

特徴

施設の機能の状態、劣化状況を把握するとともに、最適な対策を検討するため、機能診断を定期的に実施する。

留意点

施設管理者が行う日常管理、施設監視に活かすため、施設の状態や性能低下の要因を踏まえた施設監視のポイント等を施設造成者(機能診断者)から施設管理者にわかりやすく引き継ぐことが重要である。

 

③機能保全計画の策定

特徴

機能保全計画の検討に先立ち、施設管理者や関係機関の意向を踏まえた上で、リスク管理の視点も考慮して施設ごとの重要度評価等に応じた管理水準を設定する。

留意点

機能保全計画は原則施設毎に策定するものであり、「劣化予測」、「対策工法」、「対策実施シナリオ」、「機能保全コスト」及び「施設監視計画」についてそれぞれ取りまとめて策定する。

 

④施設監視

特徴

機能診断実施後、劣化予測の精度を高め、適時適切な時期に対策を行う観点から、施
設監視計画に基づき、施設管理者と施設造成者(機能診断者)が情報共有しつつ施設機
能の監視を行う。

留意点

施設監視に当たっては、可能な範囲で、機能診断の際に設定した定点を用いて、機能
診断時点からの施設状態の変化を把握することが重要である。

 

⑤対策工事

特徴

事業実施段階においては、必要な詳細調査(実施設計)を行い、対策工法を確定する。

留意点

機能保全計画及び施設監視結果に基づき適切な時期に対策を実施するため、事業化に向けた各種計画策定や法令上の手続、費用負担の考え方を含め、関係者との調整を早めに行ない、合意形成を図ることが重要である。

 

⑥データの蓄積

特徴

過去の機能診断の結果や補修工事の履歴等を電子化されたデータベースに蓄積し、一元管理することが重要である。これにより、施設の経年的な劣化を的確に把握することが容易となり、劣化予測の精度向上や効果的な対策工法の検討に資するなど、より効率的なストックマネジメントの実施と技術の向上を図ることが可能となる。

留意点

蓄積された情報は、関係機関で共有する(リスクコミュニケーションを含む)とともに、常に参照できるように整備しておくことが重要である。

 

次回もストマネについてやってみようと思います。