農業水利施設におけるストックマネジメントについて
農業土木の分野で、少し前からストマネストマネと呼ばれていて試験でもたびたび登場しています。というか、水利についてですとほとんど、こればかりではないかと思うくらいです。
そこで、ストマネ、ストックマネジメントとは何かから回答してみようと思います。
問題
「農業水利施設におけるストックマネジメントの特徴と効果について述べよ」
1.ストックマネジメントとアセットマネジメント
農水省より発行されている農業水利施設の機能保全の手引きをみると、「2014年1月、ISO55000シリーズが発行し、下水道等の社会インフラ分野でアセットマネジメントの考え方に基づく取組が始まりつつある。」とアセットマネジメントの解説にかかれています。
下水道と書かれていましたので、下水道といえばと安直に調べますと国交省の「アセットマネジメントの基礎解説」にこういった資料がありました。それを参照すると、
「下水道施設の管理においても、アセットマネジメントへの発展を見据えたストックマネジメントへの取り組み」
とあります。
アセットは「人・モノ・カネ」とあり、そのうちの「モノ(ストック)のマネジメント」をストックマネジメントとしているようです。
2.農業水利施設におけるストックマネジメントの特徴
ストックマネジメントは「モノ」のマネジメントとすれば、農業水利施設のストックマネジメントとは、農業水利施設の設備に関して管理・運用をしていく手法だと推測できます。
なんのために、この手法をするのかと考えると、農業水利施設の機能が長期間保たれて、その機能保全のコストが適当であることだと想定します。(多分、これが目的なんでしょうか。)
特徴については、農水省の農業水利施設におけるストックマネジメントの取り組みより抜粋しますと、
農業水利施設のストックマネジメントは、施設の機能保全を効率的に実施することを通じて、施設の有効活用や長寿命化を図り、ライフサイクルコストを低減する取組みであり、具体的には下記の取組みを行う。
① 施設の性能評価を行い、劣化の見通しを立てる。
② 老朽化のリスクを評価する。
③ 農業水利施設は複合施設であり、延長も長いため、箇所毎に劣化程度が違う。このため、箇所ごとの劣化状態に応じた適時の対応を考える。
④ いろいろな機能保全対策(予防保全も含む)を想定し、コスト比較によって適切な対策を選択的に実施する。
⑤ 平均的な管理マニュアル対応から、個別施設毎の対応に変える。
3.農業水利施設におけるストックマネジメントの効果
ストックマネジメントを行わないと、どうなるかを考えてみました。
例えば、クラックが入った開水路をそのまま放置する。鉄筋までクラックが入り、コンクリートが劣化し、豪雨などで部分的に洗堀されて、災害が大きくなってしまうといったことでしょうか。
また、目に見えないクラックや菅水路などは人間が直視できないでしょうし、したところでわからないこともあります。また、補修の仕方もモルタルを塗るのがいいのか、部分的に入れ替えるのがいいのか、やったことがないから適切なやり方が分からないといったことが起こると考えられます。
こういったことが回避されるのが効果ではないかと考え、答案を書いてみました。
①深刻な機能低下による再建設の回避
補修などの予防保全を行うことによって、施設の機能低下を回避し、ライフサイクルコストを低減させて施設を維持することが可能となる。
②現場での実践を通じた技術的知見やノウハウの蓄積
現状では、性能の変化を詳細な指標を用いて精緻に評価・予測することは、技術的に困難であるが、取り組みを続け、新技術の開発と導入を推進するなどすることにより、機能保全対策の適時・適切な実施が促進される。
次もストックマネジメントについて答案を作成していきます。