農業どぼくろく -農業土木録-

農業土木の仕事をしながら、農業土木関連の資格試験を取得する勉強内容を書いています。

農業における課題について

今回は問題Ⅰ対策として、農業における課題についてまとめていきます。

平成30年度の農業農村振興整備部会では「農業農村整備の新たなフロンティア~新しい時代が到来する中での農業農村整備の課題整理~」で課題を挙げています。ここから抜粋した課題を準備すると筋が良さそうなので、ここからまとめてみます。

 

1)人口減少

我が国の人口は、平成 20(2008)年をピークに減少傾向にある。人口集中地区を都市部、それ以外を農村部とすると、農村部では、昭和 45(1970)年以降、一貫して人口が減少基調にあり、都市部に比べて 20 年程度早く高齢化が進行している。また、人口減少は、条件の不利な中山間地域ほど進むとみられており、2010~2050 年の 40 年間に、山間農業地域で約7割、中間農業地域で約5割、平地農業地域で約4割の人口が減少すると予測されている。

 

2)農林水産業就業者の減少

農林水産業就業者数は年々減少し、平成 30(2018)年で 235 万人となっている。

基幹的農業従事者も減少しており、高齢化が進行している(平成 29(2017)年の基幹的農業従事者は 175 万人、その平均年齢は 67 歳)。

 

3)農地の減少

耕地面積は、ピーク時の昭和 36(1961)年から 56 年間で 164 万 ha(27.0%)減少した。

一方、荒廃農地の面積は、平成 29(2017)年時点で 28.3 万 ha である。このうち、再生利用可能なものが 9.2 万 ha、再生利用困難なものが 19.0 万 ha となっている。

 

4)土地持ち非農家の不在村地主化

総農家数が年々減少する一方、土地持ち非農家は増加している。総農家と土地持ち非農家の比率は、昭和 60(1985)年では9:1であったが、平成 27(2015)年では6:4となっている。

また、2015 年農林業センサスの分析結果によると、販売農家数の減少率は増加傾向にあり、自給的農家数が減少に転じたにもかかわらず、土地持ち非農家数の増加はわずかである。農地所有世帯数は急激に減少していることから、土地持ち非農家の不在村地主化が進行していることがうかがえる。

 

(5)農業水利施設を巡る状況

農業水利施設は、戦後の高度経済成長期に整備されたものが多く、老朽化が進行している。

施設の老朽化に伴い、突発事故の発生件数も増加している。

また、施設を管理する土地改良区の総組合員数は、農業者の高齢化等により減少傾向で推移しており、施設の管理体制が脆弱化している。

 

(6)頻発化・激甚化する自然災害

近年、集中豪雨の発生が増加傾向にあり、湛水被害等のリスクが高まっていて、農地や農地周辺の排水対策の強化が求められている。

また、南海トラフ地震の被害想定エリアには全国の基幹的農業水利施設の3割が存在しており、施設の耐震対策等の防災・減災対策の必要性が高まっている。

 

(7)深刻化する鳥獣被害

野生鳥獣による農作物被害額は減少傾向にある。しかしながら、鳥獣被害は営農意欲の減退、耕作放棄・離農の増加、さらには森林の下層植生の消失等による土壌流出、希少植物の食害、車両との衝突事故等の被害ももたらしており、被害額として数字に表れる以上に農業・農村に深刻な影響を与えている。

一方、近年、鳥獣被害対策を講じるだけでなく、野生鳥獣の肉を「ジビエ」として積極的に売り出し、農村振興につなげる動きが活発化している。

 

以上が整備部会で挙げていた農村が抱える課題でした。この中から重要と考えられるものを上げて、解決策を考え、その解決をする時にさらに出てくる問題は何か、そしてその解決策を遂行するときにどういうことに気をつけるかという問題であってほしい。と考え、次回は、白書からの切り口からの課題抽出についてやってみます。