農業どぼくろく -農業土木録-

農業土木の仕事をしながら、農業土木関連の資格試験を取得する勉強内容を書いています。

平坦地と中山間地におけるほ場整備の目的と効果の違いについて

前回、ほ場整備の目的と意義の中で、土地改良事業計画設計基準「ほ場整備(水田)」の中にありました基準及び運用の解説にかかれていたこと

「ほ場整備の目的と意義は、地域の条件により異なるものである。」

実際、様々な現場で仕事をすると水田でも大区画なんだけれども今ある農機具の効率を重視した整備やこの先の子供や孫の代に繋ぐことが出来る整備など様々な要望で進めていることがわかります。

そんな中、地域の条件により異なるもの、平坦地と中山間地について想定してみます。

 

問題

「平坦地と中山間地におけるほ場整備の目的と効果の違いについて述べよ。」

タイトル、まんまです。

 

 

1.平坦地におけるほ場整備の目的

まずは、土地改良事業計画設計基準にかかれている内容は、下の通りです。

平坦地を中心に広く実施されている大区画のほ場整備は、区画の大規模化と農地の集団化を図り、農業機械の大型化を通じて営農の効率化と土地の有効利用を可能とし、水稲及び畑作物の生産性を飛躍的に向上させるとともに、維持管理を軽減し、大規模経営による土地利用型農業の確立を図ろうとするものである。

これは箇条書きに書いていくのが綺麗だと思いますので、そういった答案にしてみます。

1.平坦地におけるほ場整備の目的

①区画の大規模化と農地の集団化

②農業機械の大型化を通じた営農の効率化と土地の有効利用

水稲及び畑作物の生産性の向上

④農地および施設の維持管理の軽減

⑤大規模経営による土地利用型農業の確立

 

2.平坦地におけるほ場整備の意義

これは、もうそのまま基準の記載を覚えていきます。

平坦地の大区画水田における高収益作物や畑作物の生産拡大のため、排水改良によるほ場の汎用化等の高生産性ほ場を整備することは、農業生産の多様化に貢献するものである。

 

3.中山間地におけるほ場整備の目的

基準の記載は、下の通りです。

一方、中山間地域におけるほ場整備は、生産性の向上、維持管理の軽減だけでなく、国土の保全、自然環境の保全等の傾斜地水田の持つ多面的機能を維持するためにも重要な手段となるものである。

箇条書きにすると、

①生産性の向上

②農地および施設の維持管理の軽減

③国土の保全

④自然環境の保全

⑤傾斜地水田の持つ多面的機能を維持

といった感じでしょうか。

 

4.中山間地域におけるほ場整備の意義

基準の書き方を少し変えてみますと、以下のような感じです。

中山間地域の農村環境の整備の観点から、計画の策定の時点において、ほ場における営農活動によって維持されてきた多様な生物の生息・生育環境等に対する影響の緩和、景観への配慮及び水質保全対策等の環境との調和について配慮出来ることで、生産性だけではない整備を進めることが出来る。

つまり、目的をみると、中山間地は確かに農業生産性を向上させたいという整備の目的も当然あるのだけれども、維持管理や環境などの保全、傾斜地水田における地下水涵養機能を重視することに意義があるというような感じなのだと思います。

 

次回もほ場整備ですが、計画の策定における留意点について、過去に出題されていましたのでそれを含めて回答します。