農業どぼくろく -農業土木録-

農業土木の仕事をしながら、農業土木関連の資格試験を取得する勉強内容を書いています。

ほ場整備の目的と意義、計画における留意点

前回、ほ場整備の目的と効果についての答案を作成しましたが、農水省土地改良事業計画設計基準に、目的と意義についての記載がありましたので、こちらのほうが当然正解答案ということですので、参考に書いておきます。計画における留意点についても書かれていましたので、こちらも書いておきます。

 

 

ほ場整備の目的

土地改良事業計画設計基準 「ほ場整備(水田)」によると、

ほ場整備の目的は、農地等の区画形質の変更を中心に、用排水、道路等のほ場条件を総合的に整備するとともに、担い手の育成に資するための農地の利用集積や非農用地を含む土地利用の秩序化を一体的に実施することによって、将来の営農形態に適合した農業機械の効率的な利用や合理的な水管理等、生産性の高いほ場条件を整備することにある。

 

前回のこのブログの答案に似ていますが、深く書かれています。他にも、基準及び運用の解説には、

ほ場整備の目的と意義は、地域の条件により異なるものである。

平坦地を中心に広く実施されている大区画のほ場整備は、~中略~

一方、中山間地域におけるほ場整備は、~略~

と、大区画ほ場整備を展開しやすい平坦地と生産性だけではない中山間地では求めるものが同じではないとのことが書かれています。なるほど、これは次回の想定問題で回答してみます。

 

ほ場整備の意義

これも、土地改良事業計画設計基準から抜粋しますと、

ほ場整備は、ほ場条件の整備や土地利用の秩序化等を通じて、生産性の向上とともに農村環境の整備、地域の活性化等にも重要な役割を担うものであり、計画の作成に当たっては、その多面的な効果を十分発揮できるよう配慮することが必要である。

 

計画上の留意点

土地改良事業計画設計基準から抜粋しますと、

計画の策定に当たっては、長期的な見通しの下、地域の自然的・社会経済的な特性を十分考慮しなければならない。

そして、それに加えて、基準の運用では箇条書きと説明といった試験の答案のようになっていましたので、こちらも抜粋しておきます。

 

①地域の開発構想や営農条件、農業技術の進歩
ほ場整備は、土地の権利移動まで含めてほ場条件を総合的に整備するものであるため、計画の策定に当たっては長期的な展望の下に、地域の開発構想や営農条件、農業技術の進歩等に的確に対応し得るよう慎重な検討が必要である。その際には、ほ場整備に係る施設の耐用年数や関係農家の負担金償還等を考慮する必要がある。
②良好な農村環境の整備
農地は、農業生産の場であるとともに、周辺地域の生活や自然環境とも密接に関連し、農村環境を構成する主要な要素となっており、その整備計画の策定に当たっては、当該地域の開発計画との整合性に留意するとともに、良好な農村環境の整備にも資するものとする必要がある。
③施工後のほ場条件の変化への対応
ほ場整備において農地の全面を根本的に改良する場合は、その扱う対象は主として土である。ほ場が作物生産の場として安定した機能を発揮し得るためには、施工後一定の時間経過を必要とするので、計画の策定に当たっては、各工種の施工順序や施工後のほ場条件の変化過程についても十分検討し、その対策を立てておく必要がある。

 

①は営農が変わっていくこと、例えばスマート農業が加速するであろうといったことは当然想定されますので、自動給水栓の通信環境を整えるとか、GPSの基地局設置についてなどの検討はしておく必要があるということでしょうか。他にも農業技術自体も進むでしょうということで私は押さえておきます。

②は農業の多目的効果といった点からすると景観や水田の地下水涵養機能、農村特有の自然環境に配慮する必要が当然のごとくあるといった点でしょうか。

③は農地の整備後の変化についての対応、特に大体が土をいじっているので、水分が少なくなれば沈下したり、水みちを遮断したところから水が湧いてきたりなどといった変化にも目を向けておくといったところでしょうか。

 

次回は、平坦地と中山間地にて求める効果の違いについてといった想定問題を回答してみます。